
タイに住む日本人は大使館に登録されている人数だけで約4万人。数か月単位での出張者や諸手続きが面倒で大使館に届出をしない人も多く、実際には6万人から7万人ほどの日本人が居住していると言われています。バンコクには日系スーパーがあり、おおよその食材を揃えることができますが、こだわりの一品や地域の名産など日本からEMS(国際スピード郵便)等で送ってもらう方も多いと思います。
今回、弊社お取引先がバンコクで展示会出展にあたって一部商品サンプルやパンフレットをEMSで現地に郵送されたのですが、税関でストップしてしまい郊外のラクシーにあるEMSセンターに出向き荷物を引き取ることに。その顛末についてレポートしてみたいと思います。
私が知る限り2014年のクーデター以前はとくに検査もなく通関しそのまま宛先まで配送されることが多かったEMS便。軍事政権になって以来かなり厳格に検査されるようになり、少なからぬ割合でEMSセンターまで出向かなければ荷受できない事が多くなったとか。とくに複数の段ボールを一度に郵送した場合などでストップがかかることが多いようです。
呼出状がやってきた

日本からタイまでEMSを利用して荷物を送ると通常3日ほどで配送されます。今回、4日経っても音沙汰なく不思議に思っていたところ、荷物の代わりに写真のような呼出状が・・・「荷物が税関で止まっているので7日以内にEMSセンターに取りにくるように」との内容。タイ語Onlyの呼び出し状なので、タイ語が読めない外国人にとってはこの時点で「?」となってしまいますが、とりあえず記載されている電話番号に問い合わせると片言の英語を話す係員が応対してくれるようです。
EMSの宛先がバンコクかつ税関で止められた場合、ドンムアン空港近くのラクシーEMSセンターまで足を運んで荷受をすることになります(船便やSAL便の場合はフアランポーンの郵便局)。営業時間が平日の9時から16時半、そして12-13時は昼休みということで勤め人にはハードルの高い設定。おまけに7日間以内に受け取らない場合にはEMSは没収となります。今回は何とか時間のやりくりをして平日の午前10時半に出向いたのですが、これが甘かった・・・その理由は後述。
いざEMSセンターへ

ラクシーのEMSセンターは、移民庁や税関など多くの政府機関の合同庁舎が立ち並ぶ「ガバメントコンプレックス」の一角にあり、アクセスは基本的にタクシー利用になります。
今回はBlogネタにする意味もあり敢えて公共交通機関を利用。スクンビット線の終点モチット駅までBTSで行き、そこから乗り合いバンの「ロットゥー」を利用してみました。駅前に並ぶロットゥーの運転手に例の呼出状を見せると、乗るべきロットゥーを教えてくれます。揺られること約20分(運賃25THB)ほどガバメントコンプレックスの入口に。待機しているバイクタクシー(運賃15THB)に乗り換え5分ほどでEMSセンターに到着。意外にすんなりとたどり着くことができました。
1時間の待ち惚け

建物の中に入りまず左手にあるインフォメーションに呼出状を提出。まずパスポートの提示を要求されコピー(料金2THB)を取られますので、パスポートは必携。忘れると取りに帰るハメに陥ります。コピーが済むと奥の部屋にあるカウンターに行くよう指示されます。カウンターで呼出状とパスポートのコピーを提出すると係員の顔が曇り別の部屋にあるスーパーバイザーカウンターに行くようにと指示が。言われるがまま行くと“荷物の伝票にある受取人の住所が滞在ホテルの住所になっている上に、文字数不足で名前が途中で切れているので渡せない”云々・・・丁々発止のやり取りの末、滞在ホテルに電話をして宿泊者リストをメールで送ってもらうことに。その時点で職員の昼休みに突入し1時間待ち惚けを喰らう事になってしまいました。
待機⇒交渉⇒待機⇒交渉⇒受取

13時に昼休みが終わってから、再び前述のカウンターに戻り番号札を引いて待つこと1時間ほど。ようやく順番が回ってきて荷物とご対面。箱の中身はパンフレットと商品サンプルということで発送時のインボイスには「No Commercial Value(商業的価値なし)」と記載していましたが、係官は関税6千THB(≒20000円)払うようにとの指示。すったもんだのやり取りの末、最終的には550THB(≒1800円)だけ払うことになりました。関税の金額が交渉で10分の1になるあたりがいかにもタイらしいところです。支払いを終えると基本的に荷物は自分で持ち帰ることになりますが、センター内には郵便局がありそこから再度発送することも可能です。EMSは基本的にドアtoドアもしくは(荷物が大きい場合などは)宛先最寄りの郵便局まで郵送の料金なので納得いかない気もしますが、そういう仕組みになっている以上諦めるしかありません。諸々の手続きや交渉を経て建物を出たのは15時前。丸一日仕事でした。
今回の経験からEMSを受け取りに行く上で気を付けなければならないことを3つまとめてみます。
- 時間には余裕を持って行くこと。
朝一で入ればトラブルがあっても午前で手続き完了の可能性大です。 - パスポートを忘れない事。
パスポートがなければ門前払い。絶対に先へ進むことができません。 - タイ語か最低でも英語を話すことができる口達者な人に同行してもらうこと。
係官の言い値はかなり吹っかけている可能性大。タイでは何事も交渉が必要。